日本で一番詳しい、パナマ代表紹介。

日本代表は今夜、オーストリアで「パナマ代表」との親善試合を予定している。【2020年11月13日(金)日本時間 23:15キックオフ】

今回は、欧州組で構成される日本代表が対戦する「北中米の知られざる難敵」パナマ代表について紹介していこう。
結城 康平 2020.11.13
誰でも
https://www.jfa.jp/eng/news/00025689/

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 日本代表が今夜、親善試合で今夜対戦するパナマは「北中米のダークホース」として力を蓄えてきた。W杯初出場の小国は、それを一度だけの偉業で終わらせるつもりはない。コロナ禍の欧州を舞台に開催される国際親善試合に、森保監督は「欧州組だけで構成されたメンバー」を選抜。日本の選手を招集することが難しい状況で、代表を強化する難しいミッションに挑んでいる。

 今回の記事は、(恐らく)日本で一番詳しいと思われるパナマ代表の紹介記事となるだろう。皆様が知らないパナマのフットボールを、是非満喫して欲しい。

継続的な育成改革の成功

 パナマ代表がW杯予選において、現在チェルシーに所属するクリスティアン・プリシッチを擁するアメリカ代表を上回ったことは、決して偶然ではない。ロシアW杯に初めて出場した小国は、継続的な強化を続けてきた。

 特に重要な転機となったのが、2003年のワールドユース出場だ。それを成し遂げたのが、「パナマのフットボール史に名を刻む男」ギャリー・ステンペル。イングランドとパナマのハーフである彼は、英国で学んだフットボールを母国パナマに還元していく。北中米の小国は、ステンペルの成功を機に海外の指導者を積極的に抜擢してきた。

 コロンビア国籍のエルナン・ダリオ・ゴメスがチームを初のW杯出場に導くと、その後は何人かの監督交代を経てトーマス・クリスチャンセンを招聘。元スペイン代表のFWとしても知られ、デンマークとスペインの国籍を保有する指揮官は、リーズ・ユナイテッドでの指導歴もある。U-20世代もウルグアイとベネズエラの国籍を持つSaúl Maldonadoが指導しており、トップチームのアシスタントコーチも兼任。

 サッカー協会は若い世代から外国籍のコーチを登用し、彼らの指導によって育まれた選手をトップチームに引き上げようとしている。指揮官は自己犠牲の重要性を常に強調しており、タフな守備とカウンターを武器とする組織的なチームになりそうだ。

「まだ始まったばかりではありますが、コスタリカを相手に連勝したことは評価すべきだと思います。しかし、我々は浮かれずにプレーを続けなければなりません。重要なのは徹底した献身です。日本代表はUEFAランキングでは圧倒的に格上のチームですが、サポーターを喜ばせられる試合になることを望んでいます」 トーマス・クリスチャンセン

今回の召集メンバーにおける、注目選手紹介

https://www.gettyimages.ae/detail/news-photo/costa-ricas-and-panamas-national-players-remonstrate-with-news-photo/860329498<br>

https://www.gettyimages.ae/detail/news-photo/costa-ricas-and-panamas-national-players-remonstrate-with-news-photo/860329498

日本代表と同様に、パナマ代表もオーストリアで開催される今夜の親善試合では「欧州組」を積極的に召集。日本代表よりは少ないとはいえ、多くの若手が欧州でプレーしている。

◇セサール・ブラックマン(César BLACKMAN) 22歳

19歳のときにパナマリーグから欧州に渡ったサイドバックは、スロバキアリーグのドゥナイスカー・ストレダでレギュラーに定着。躍動感が凄まじいサイドバックで、派手なボディフェイクで相手を欺くと、積極的な攻撃参加でチャンスに絡む。サイドハーフやウイングとしてもプレー可能で、右サイドであればWG/SH/SBの全てに対応する。

アンドレス・アンドラデ (Andres ANDRADE)  22歳

 20歳でオーストリアのLASKリンツに引き抜かれると、そこから主軸に定着したセンターバック。左サイドバックにも対応する柔軟性も武器で、足下の技術に優れていることから積極的に楔のボールを供給していく。187cmの高さも魅力的で、ELではマンチェスター・ユナイテッドを相手に好パフォーマンスを披露した。

◇ミゲル・ムリーリョ(Michael MURILLO) 24歳

 Transfermarktの市場価値は右肩上がりで、2018年のW杯にも召集された主力メンバー。24歳の若さでMLSと欧州を経験し、今季も2ゴール3アシストを記録。右サイドバックを本職とするが、攻撃力でチームを牽引する。

ビクトル・グリフィス (Víctor GRIFFITH)  19歳

19歳の若さで、3センターの中央で堂々としたプレーを見せる期待株。身長は低いが球際に強く、攻守両面で狭いエリアでの競り合いを得意としている。まだまだ粗削りだが常にボールを受ける意識が強く、動き回りながらパスを要求。そこから大きめのタッチで相手を外していくようなプレーを得意としている。現在はコスタリカリーグでプレーしているが、欧州での代表戦でステップアップのアピールを狙う。 

アダルベルト・カラスキージャ(Adalberto CARRASQUILLA)  21歳

スペイン2部で主力として活躍し、レアル・マドリードからの関心も報じられるMF。スキルの幅は広いが、徐々に洗練したプレースタイルが固まりつつある。体幹の強さが特徴的で、ボールを運びながらでも正確なスルーパスを供給可能。中距離のキックも精度が高く、逆サイドへの展開も可能。

ホセ・ルイス・ロドリゲス(José Luis RODRIGUEZ)  22歳

 単騎でも十分に勝負可能な推進力と、トリッキーな足技を武器にするウインガー。ローン先のスペイン2部で存在感を高めており、ゴール前での得点力も評価されている。デポルティーボ・アラベスが保有権を持っており、虎視眈々と1部でのチャンスを待っている。 

エドゥアルド・ゲレーロ (Eduardo GUERRERO) 

 イスラエルのマッカビ・テルアビブFCに買い取りオプション付きのローンで加入すると、その才能を認められて完全移籍したアタッカー。長いストライドと抜群のスピードを武器にしており、左サイドと中央でプレーが可能。

 若き才能が溢れるパナマ代表は、10代の才能を積極的に国内リーグでデビューさせている。そういった才能溢れる若者が安価な移籍金で欧州に引き抜かれ、ユースチームやレンタル先で結果を残し、トップチームにステップアップしていく。

 結果としてヨーロッパのチームで育成年代から過ごした若者が増えており、彼らは次世代の中核を担うことになりそうだ。MLSを経てステップアップする従来の流れと比べると、10代で欧州を経験することのメリットは小さくない。競争も激しいが、今回の召集メンバーは十分にそこを勝ち抜くポテンシャルを秘めている。

 5年後、更なる難敵として日本を苦しめるかもしれないパナマ代表。彼らの現在地を、今夜のゲームで確かめてみよう。

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