「創造性」とは何か?
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「創造性(Creativity)」。
フットボールの世界では頻出する単語であり、相手を翻弄するようなアイディアに溢れるプレーを得意としている選手をイタリアでは「Fantasista-ファンタジスタ」と呼ぶ。しかし、人々が熱狂するプレイヤーを指す単語の意味は非常に曖昧だ。
創造性のあるプレーとは、相手を欺くヒールパスなのだろうか。それとも、華麗に守備陣を切り崩すドリブルなのだろうか。
アーセナルが不調に陥る度、英国の識者が頻繁に指摘する問題が「創造性の欠如」であることは事実だが、それはメスト・エジルがピッチにいれば解決するほど単純なことなのだろうか?ドイツ代表でも創造的な攻撃の中核を担い、現代的なファンタジスタとしてピッチを駆け回ったエジルの存在は鮮烈に記憶に焼き付いているが、チームとしての創造性の欠如を個の創造性で埋めることも、歪なことなのではないだろうか。
今回はこの答えのない、哲学にも近い問いの答えを探していこう。
「即興性」と「トレーニング」の間で
スコットランド出身の指導者であり、以前スペイン2部のAD Alcorconでコーチを務めていたKieran Smithは、バスケットボールを例に出しながら「創造性」について言及している。
「創造性とは、思考しない状態で発揮される本能的なもので、それまでに一度も挑戦したことのないプレーになる場合もある」
彼の意見から考えると、「同じ動きを繰り返すような練習」をすることは創造性を制限する結果を呼ぶことになるだろう。ヒールキックが練習で繰り返し行われていた場合、ヒールキックは既に即興的なプレーではない。本能的なプレーを制限するようなトレーニングは、創造性を制限することに繋がってしまうリスクに繋がっていく。
同時にドリル形式のトレーニングの批判は、現代フットボールにおいて様々な識者が共有するものだ。フットボールを複雑系として理解する人々は、同じ局面が存在しないゲームにおいて「反復練習」は実際のゲームから「遠く離れたトレーニング」だと主張している。それは彼らにとって、非効率的なトレーニングなのだ。
一方で、イングランドのMKドンズでアカデミーの指導に携わった後、FA(イングランドサッカー協会)でユース世代の育成を統括したDan Miccicheは「反復的な練習が創造性を制限するという発想」を部分的に否定する。彼は今、アーセナルのユース(U15チーム)の監督を務めている。
「イングランドで最も期待される指導者の1人」として知られる41歳は、先日配信したモラフスキ氏の研究にも参加していた。
若き名将の卵は「イングランドDNA」というキャッチフレーズで知られる育成改革の中核を担った人材としても知られているが、より柔軟な思想によって創造性を育むアプローチを好んでいる。